骨粗しょう症の基礎知識

「骨粗しょう症」とは、骨がスカスカになり、骨折を起こしやすくなる病気です。
骨は形成と吸収(破壊)のバランスで骨密度を保っています。女性では、閉経により女性ホルモンが減少すると骨吸収が盛んになり、バランスが崩れて骨密度が急速に低下します。骨密度が若い女性の70%未満になると、骨粗しょう症と診断されます。

骨粗しょう症の初期には、痛みなどの自覚症状が現れにくく、骨粗しょう症が進むにつれて、次第に背中や腰の痛み、せぼねが曲がる、身長が縮むといった症状が現れはじめます。

骨粗しょう症の人の骨と健康な人の骨

骨粗しょう症の骨量

骨密度の低下が進むと骨折を容易に起こしやすくなります。特に、手首、せぼね、太ももの付け根が骨粗しょう症による骨折の頻度が高いところです。

現在、わが国には約1,300万人* の骨粗しょう症の患者さんがいると推定されています。しかしながら、実際に治療を受けていらっしゃる方は約2割と言われています。そして、骨粗しょう症による骨折のために生活の質が低下したり、介護を受けたり、「寝たきり」の生活を送っている患者さんもおられます。このような患者さんを増やさないためには、骨粗しょう症の正確な診断と適切な治療を受けることが大切です。女性の方には、50歳を過ぎた頃から定期的に骨量を測定されることをお勧めします。

*: (1) 参考資料:骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版より


骨量(骨密度)の測定について

骨量の測定方法には、DXA法をはじめとして、MD法、QCT法、QUS法などがあります。
骨粗しょう症の診断には、他の方法よりも正確に骨量を測定できるDXA法を用いて腰の骨(腰椎)または太ももの付け根の骨(大腿骨)を測定した結果を用います。これらの部位の測定が困難な場合は、ひじから手首の骨(橈骨)や手のひらの骨(第2中手骨)の測定結果を用いることができます。

**:QUS法

DXA法(2重エックス線吸収法);
2種類のエックス線を用いて骨量を測定する方法です。腰椎や大腿骨、橈骨を測定し、骨粗しょう症の診断に使用されています。

MD法(Microdensitometry法);
手の横にアルミニウム板を置き、一緒にエックス線写真を撮影し、画像の濃淡の差をコンピューターに読み取らせて解析する方法です。

QCT法(定量的CT測定法);
CTを用いて算出する方法で、腰椎の3次元的な骨量を測定できます。ただし、DXA法に比べて放射線被ばくがやや多い方法です。

QUS法(定量的超音波測定法);
超音波の伝搬速度を用いて骨を評価する方法で、通常は踵の骨を用いて測定します。放射線を使用しないため、人間ドックや検診には汎用されていますが、骨量そのものを測定しているわけではありませんので診断には用いません。


骨粗しょう症による骨折を起こしやすい部位

骨粗しょう症による骨折を起こしやすい部位

このなかで、せぼね(椎体)が、押しつぶされるように変形してしまう骨折を脊椎圧迫骨折と呼びます。
脊椎圧迫骨折に関する詳しい情報は、「脊椎圧迫骨折について」のページをご覧ください。                

 

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